【20200917−02】神野事件後

notヒーロー志望の神野事件

notは林間合宿の前に勝己とショッピングモールに行って親しげにしているのを死柄木に目撃されていた。勝己を引き入れるための交渉道具として、あらかじめ死柄木の命でトガによって誘拐される。その際に傷を負い血も取られた。
初めて敵に標的にされ孤立している状況の中で、精神的に極限状態に陥りトラウマを抱える。勝己も誘拐されたことによっていくらか落ち着くが、死柄木は自分の説得に応じない勝己を陥落させるためにnotの首に手を掛けて言った。

「こいつ殺そう」

死柄木はnotに勝己を説得するように脅迫したが、notは応じることができなかった。勝己にヒーローを諦めることを願うことは、今まで自分が愛してきた自分たちの関係を殺すことになると思ったからだ。怖くないわけではなかった。死柄木の要求を拒否したnotは、ああ、死ぬと思った。死への覚悟ではない。ただそれ以外、何も考えが出てきてくれなかった。さよならも、命が惜しいとも、バカな答えをしたと嘆くことも出てこない。死への恐怖だけが、憎らしいほどきれいに、シンプルに、心の底から、指先の神経まで広がって、痺れて、自分が何かを考えているのかすらわからないほど真っ黒になった。

二人の窮地を救うためにオールマイトを筆頭にヒーローが駆けつけたが、連合メンバーと共に勝己が消えていくのを目の前で見て絶望する。
……いつもどこかにいなくなるnotを見つけてくれるのが勝己だった。notはどこかへ消えた勝己の探し方を知らない。そもそも、そんな心配なんてしたこともなかった。勝己はいつもnotの側に帰ってきたからだ。

notは怪我のため、現場からの保護の後入院した。数日はほとんど眠り、目を覚ましても悪夢と現実の境界線が曖昧で精神的に不安定な状態だった。病室で警察の取り調べを受けたが、普段なら明瞭に話せる言葉もするりと出てこない。ただ、また敵連合が現れないかだけが不安で、彼らの行方や今後の対応目処について詳しく聞きたがった。

勝己を取り込むためにnotを利用しようとした事実を踏まえ、警察と雄英は、notが在学しているヒーロー科のない禄聖女学校から、現役ヒーローが在籍し警察とも協力している雄英への編入を提案する。セキュリティの全てを警備会社に委任している禄聖よりも、雄英の方が有事の際に対応が早く、保護もできる。

再度連合に狙われることを忌避したかったnotは雄英に編入することを決めた。